社会医療法人みゆき会

山形脊椎センター

センター長あいさつ

武井寛医師

首や腰、背中が痛む、手足がしびれる、手足が痛む、手がうまく使えない。この頃長く歩けなくなってきた。背中の形がゆがんでいる、背が縮んできた、背中が曲がり食べるとお腹が苦しい…。思い当たる方はいませんか?もしそんな症状があれば、それは「せぼね」に問題があるからかもしれません。

そんな「背骨の問題」をなるべく早く解決する場として「山形脊椎センター」を立ち上げてから、まもなく2年が経過します。「患者様の生活が一番」を旗印に、山形大学整形外科と連携した「脊椎・脊髄疾患・骨粗鬆症のよろず相談所」として、患者様の生活スタイルにもっとも適した治療をご提供し、病気の治療だけでなく、より良い生活を送っていただくことを目標に診療を行ってまいりました。

 例えば、骨粗鬆症性椎体骨折の治療をあげてみます。ご高齢の方が急に背中や腰の痛みをきたした場合、なるべく速やかにMRI検査を行います。骨折が判明し症状が強ければ、原則的に入院しての厳密な保存療法を行います。症状が改善すればご自宅に退院できますが、痛みが継続したり、日常生活に戻るには不安がある場合は亜急性期病床、あるいは長期療養型病棟で、じっくりリハビリテーションに取り組んでいただきます。この間、医療相談員がご本人やご家族と話をさせていただき、自宅への退院、あるいは施設入所等へのお手伝いをいたします。また骨折が治らないときは身体への負担が少ない椎体形成術*1を行い、症状の改善をはかります。

別の例として、働き盛りの年代に多い腰椎椎間板ヘルニアの治療をみてみましょう。この年代の患者様には、なるべく早く社会生活に復帰することが求められます。そういった場合、内視鏡下椎間板ヘルニア切除術*2を行う事で、早期に痛みから解放され、仕事に復帰することが可能となります。

 このような方針で診療を行って来た結果、平成24年度はおおよそ300件の手術を施行させていただきました。手術に際しては、脊椎・脊髄手術に精通したスタッフとともに、安全性を最優先しつつ、なるべく患者さんへの負担(=手術侵襲)が少ない手術を選択しています。ちなみに手術侵襲が大きい・小さいは、骨や筋肉など正常な部分への侵害、手術時間、安全性、そして治療効果の持続性などを総合して判断するものです。それぞれのバランスを考えながら、一人一人の患者さんにとって、もっとも安全性が高く、もっとも効果的で、より負担の少ない治療法を行うよう相談させていただいております。

 当センターが「よろず相談所」を自認している理由として、お子様からご高齢の患者様まで、ほぼすべての脊椎・脊髄疾患に対応している点があげられます。なかでも、10歳代で発症する特発性側弯症*3や、比較的高齢となってからの変性後側弯症*4など、一般的な病院では治療がむずかしい脊柱変形の治療を多く手がけていることが特徴です。また様々な脊椎の病態に対応するために、前述の椎体形成術や内視鏡下椎間板ヘルニア切除術のほか、新たな脊椎固定法としてのCBT (Cortical bone trajectory)法*5経皮的椎弓根スクリュー刺入法*6をとりいれ、手術の低侵襲化に積極的に取り組んでいます。さらに頸椎、胸椎の手術では、ほぼ全例に脊髄モニタリングを施行し、安全性を最優先した手術を心がけています。

山形脊椎センター入院部門があるみゆき会病院6病棟からは、季節ごとの異なった表情をみせてくれる蔵王の雄大な眺め*7を楽しむ事ができます。温泉王国・山形の病院らしく、眺望温泉浴場や足湯も備わっております。このような環境のもと、山形県内随一を誇るリハビリテーションスタッフと共に、病気からの回復につとめていただく事が可能です。遠方からお越しの場合は山形新幹線かみのやま温泉駅、また山形道上山北インターの利用が便利です。現在病院前の6車線(うち側道2車線)化工事が進んでおり、今後はさらにアクセスしやすくなる予定です。

平成25年2月19日センター長 武井 寛

*1椎体形成術

骨粗鬆症のため弱くなった背骨には、軽微な外傷や前屈みになっただけでも圧迫骨折が発生する事があります。圧迫骨折が生じると強い腰や背中の痛みのため、寝返りすら困難になってしまいます。

通常は一定期間の安静やコルセット治療を行いますが、背骨の骨折がいつまでたっても治らない場合があります(偽関節)。
この偽関節を治すためには、従来比較的大きな侵襲を伴う広い範囲の固定術や脊椎骨切り術が行われていました。
高齢である事が多い患者様の身体になるべく負担をかけず、なおかつ早期に動けるようになっていただく事を目的に、当センターでは、皮膚から針を挿入し、特殊な風船を骨折した脊椎の中で膨らせた後、セメントを充填して変形した背骨を矯正しながら骨の中を固定する椎体形成術(BKP: Balloon kyphoplasty)を取り入れています。
骨折による不安定性が一瞬にして治まるので、その効果は絶大です。
ただしこの手術は、すべての圧迫骨折に対して施行できるわけではなく、骨折の急性期やつぶれた脊椎が神経を圧迫している場合には施行できません。
また、手術で骨粗鬆症自体が治るわけではないので、手術後も骨粗鬆症の治療をしっかり続けていく必要があります。

<KYPHON BKP骨セメントHV-R(メドトロニックソファモアダネック株式会社)を用いたBKP手術>

画像_BKP手術

メドトロニックソファモアダネック社によるBKP /You Tube(英語版)

*2内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術

小さな傷口ですむ、椎間板ヘルニアの手術療法です。

内視鏡下での手術により、従来法に比べ、切開の範囲を小さくすることが可能となり(18mm程度)、また腰の筋肉に対するダメージも少なくなるため、患者様の早期離床・回復、痛みの軽減が可能です。

<Medtronic Spine社製METRxTMによる内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術>

画像_内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術

<術後1週間の手術創>

写真_術後1週間の手術創

*3特発性側弯症

未だにその原因は不明ですが、多くの場合思春期に発症・悪化します。約9割は女の子に発症します。?

「せぼね」(脊柱)が、ねじれを伴って曲がっています。このため肩の高さやウエストラインの高さに差があらわれ、身体が左右非対称性になってしまいます。お辞儀をしたときの背中や、腰の高さにも左右差が出ます。多くは思春期に進行します。40°近くになると服の上からも目立ってきます。

<放置した場合の危険性>

側弯の進行は、通常成長の終了とともに停止しますが、腰椎では30°以上、胸椎では40°以上の場合、成長終了後も進行します。60°を越えると肺活量が低下し、90°だと2分の1、さらに悪化すると肺障害を起こし、死亡の原因となることがあります。

曲がりが強くなると上半身と下半身の重心軸がずれ、身体のバランスが崩れることによって歩行障害、腰痛、背部痛等をきたすことがあります。

女性では出産後、授乳期に身体のカルシウムバランスが乱れ、変形が進行します。 将来骨粗鬆症が生じた場合、変形がすすみ、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

<側彎症の治療>

成長終了前で40°未満であれば、装具療法で進行を予防出来ます。ただしこの場合、長時間、長期間の装着が必要です。体操など、他の治療法の効果は科学的に証明されていません。40°を越えてしまった場合には、美容面と進行予防の目的で手術を行います。

<14歳女性 特発性側弯症>

写真_特発性側弯症 術前・術後

*4変性後側弯症

側弯症を治療しなかった場合、長年にわたり腰に負担がかかり続けた場合、骨粗鬆症が進んできた場合などに生じます。
腰が曲がり、身体のバランスをとることが難しくなるので、長い時間立っていたり、歩くことが難しくなってきます。
姿勢を保つために腰や背中の筋肉に負担がかかり、腰痛や背中の痛みが生じます。曲がった「せぼね」の中で神経が圧迫されると臀部から足にかけての痛みやしびれが発生します。
腰の曲がりが進むと内蔵に圧迫が加わり、逆流性食道炎などの消化器症状があらわれます。

<変性後側彎症の治療>

装具療法(コルセット)や体幹の柔軟性や筋力を鍛えるリハビリテーションを行います。

痛みやしびれに対しては内服薬、座薬、湿布などを用います。

症状が強い場合は手術を行います。

年齢が若い、骨密度が高い、症状が比較的軽い、「せぼね」の変形の程度が軽いほど手術の負担は軽く、逆に高齢で骨粗鬆症が進行し、また症状や「せぼね」の変形が強い場合は手術の難度が増加します。

手術した後には1週間程度のベッド上安静と、その後ギプスや装具の装着が必要になります。

日常生活に復帰するには約6週間の入院が必要です。

退院後も腰への負担は禁物です。特に草取りなど長時間前屈みになる作業はできるだけ避ける必要があります。

<63歳女性 脊柱後側弯症>

写真_脊柱後側弯症 手術前

写真_脊柱後側弯症 手術後

*5CBT(Cortical bone trajectory)法

Cortical bone trajectory(皮質骨軌道)法は、2009年にHynesらによって報告された新しい脊椎固定スクリューの刺入法です。
従来使用されていたスクリュー刺入法とは異なり、椎骨のより硬い部分(皮質骨)にスクリューが入るのが特徴です。

生体力学的研究では従来から行われてきた椎弓根スクリュー刺入法と同等以上の強度が得られるとされています。
この方法は、スクリューの刺入点が従来よりもかなり内側にくるため、スクリュー刺入に際して脊椎から剥離する筋肉の範囲をより少なくする事ができます。
そのため、従来の方法に較べて以下の様な利点があります。

  1. 出血が少なく手術時間も短縮されます。
  2. 創が小さく、筋肉のダメージも少ないため、術後の疼痛が少なく、回復も早まります。
  3. 固定性が強固のため、変形の矯正が従来法より良好に維持されます。
  4. 骨粗しょう症を合併している患者様に対しても比較的安全に適応可能です。

<Cortical bone trajectory(皮質骨軌道)法が適応となる病気>

<55歳女性 第4腰椎すべり症>

写真_第4腰椎すべり症 術前・術後

*6経皮的椎弓根スクリュー刺入法

この方法は新世代の椎弓根スクリュー刺入法です。

従来、椎弓根スクリューを刺入するには背中の筋肉を背骨から広く剥離する必要がありました。
しかしこの方法では、椎弓根スクリューが小さな創から経皮的に挿入され、椎弓根スクリューを連結するロッドもやはり小さな開創部から経皮的に挿入・設置されるため、より低侵襲的に脊椎の固定が実施できるようになりました。

本法の利点は以下の通りです。

  1. 出血が少なく手術時間も短縮されます。
  2. 創が小さく、筋肉のダメージも少ないため、術後の疼痛が少なく、回復も早まります。
  3. 前述のCortical bone trajectory(皮質骨軌道)法の適応が難しい仙骨の固定や、 腰椎分離すべり症にも適応する事が可能です。

<経皮的椎弓根スクリュー刺入法が適応となる病気>

<DePuy社製 Viper2TMによる経皮的椎弓根スクリュー刺入>

画像_経皮的椎弓根スクリュー刺入

*7蔵王の雄大な眺め

写真_蔵王

「山形脊椎センター」の目指すこと

  1. あらゆる脊椎・脊髄疾患の患者様に、安全・適切かつ迅速な治療を行います。
  2. 診断・治療・リハビリ・介護まで、安心の医療を実現します。
  3. 子どもからお年寄りまでのヘルスケア、QOL(生活の質)をサポートします。
  4. センター内外との連携を大切にし、常により良い医療を目指します。
  5. 患者様中心の医療に徹し、地域の発展に貢献します。

みゆき会病院「山形脊椎センター」

〜すべての「せぼねの病気」を治療します〜

外来部門

入院・手術部門

側弯症・脊柱変形外来(予約制)

診療時間
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※土曜日は予約制となります。

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南館クリニック内 山形脊椎センターの役割

〜せぼねの病気・骨粗しょう症の「よろず相談所」です〜

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センター長: 武井 寛