新型コロナウイルス感染拡大で自粛生活が続く中、大きな希望として待ち遠しいのがワクチンです。通常、ワクチン開発は10年以上かかると言われますが、異例の早さで開発が進み、アメリカやイギリスなどでは既に接種が始まりました。先日、日本でも菅総理が「2月下旬までに接種開始が出来るよう政府と各地方自冶体が連携して準備を進める」と述べ、各都道府県レベルで接種会場の確保や、接種を行う医師や看護師等の調整が急ピッチで進められています。山形県でも、調整業務を行う「山形県新型コロナワクチン接種総合本部」が設置されました。医師会や医療機関等と連携し、国の方針に沿って3月上旬の接種開始を目指して体制整備を急いでいます。まずは医療関係者、ついで65歳以上の高齢者、重症化リスクの高い基礎疾患を有する人の順番で接種が行われ、一般市民へは5月以降からの接種が予定されています。
 その一方で、ワクチンの接種については日本人への臨床データがまだ少ないことや、副反応が出る可能性を懸念する声も聞かれます。予防とはいえ、健康な身体にできたばかりのワクチンを接種することに抵抗感や不安を覚えるのは当然と思われます。「100%安全、かつ100%有効なワクチン」はありません。どんな治療薬であっても、程度の差こそあれ副作用は発生します。副作用の存在と、それを上回る明らかな有益性を理解したうえで接種を受けることになります。海外においては、ワクチンの有効性は十分に証明されています。この度の新型コロナウイルス感染症においては、例え成人以上の元気な方であっても、思わぬ重症化や死亡リスクや後遺症の発生リスクがありますので、ワクチン接種は強く推奨されると考えます。一方で、自身の有益性のみならず、他者への感染を防ぐ効果も当然あります。自身の感染を知らずに、家族や周囲の人に感染させてしまうリスクも減らせます。多くの方がワクチンを接種し抗体を保有すれば、いわゆる『集団免疫』を獲得し、地域や国からウイルスの流行を排除することが可能となります。当然、我々医療者としては患者様や利用者様への感染や院内感染を最大限防ぐ上でも、全員接種することが求められます。

 現在の日本の法律では、全国民へのワクチン接種が義務化とはされないかもしれません。ただ、ウイルスが今後も完全には無くならないことを考えると、ひとり一人が十分に考え「将来のために」判断・行動していくことが求められてくるでしょう。現在の、いわゆる災害とも言える状況においては、『利他』の精神をもって皆で乗り越える強い意識が大切だと思います。

希望2

 

 

  

 病院長 安藤常浩