写真3

 2020東京オリンピックのレガシーや、インバウンドの追い風にのった希望の未来は、新型コロナウイルスのパンデミックの暗雲に搔き消されたようです。気候変動、政治経済問題、ついにはウクライナをはじめ、悲しいニュースが続く予測不能な時代の中にいると感じます。平和や安全安心、健やかに安定して生活することの大切さを、これまで以上に皆様も実感されているのではないでしょうか。漸くパンデミックの出口が見えそうです。あと、もう少しの辛抱かと思われます。

 当院では、『整形外科』の手術・リハビリ治療を始め、高度な医療を展開しています。『内科』系は各領域の専門医師が常勤しており、『脳神経外科』『小児科』『歯科』の外来治療も行っています。山形大学附属病院との連携を強く保ち、多くの先生方に診療をご支援いただき、大学病院に行かなくても質の高い医療を受けることが可能です。今年の4月からは、『腎臓内科外来』として、矢吹病院の政金先生にも外来診療いただいております。2022年1月からは、電子カルテを導入し診療の質と効率性が改善され、会計での待ち時間も短縮しています。また、今年9月からは新たなCTの導入により、冠動脈CT撮影が可能となり、狭心症など循環器病の診断レベルがさらに向上しました。

 一方で、当院は地域に密着し持続可能な医療を提供し続けるという使命があります。地域包括ケア病棟、回復期リハビリ病棟では、急性期治療後の患者様が安心して自宅での生活に戻れるようサポートしています。療養病棟では、隣接する老人保健施設『みゆきの丘』や他の介護施設と連携し、穏やかな療養の継続や人生の残された時間を安らかに過ごされるよう支援しています。

 兼ねてから、日本では少子高齢化による『2025年問題』と言って、団塊世代が後期高齢者となり、医療費の逼迫や地域の医療・介護をどのように支えるかが大きな課題になっています。上山市は、山形県内でも高齢化率が高い地域です。山形県では『2025年問題』は既に始まっており、今後どのように対処していくか避けて通れない課題です。一方で、国が進める『地域包括ケアシステムの構築』が提唱されて久しくなります。自宅や集合住宅といった在宅生活を基盤として、それを取り巻くように(1)生活支援や介護予防(行政サービス、NPO、老人クラブやボランティア等)、(2)介護サービス(老人保健施設等の介護施設、通所サービスや訪問看護などの各種在宅サービス)、さらに(3)医療サービス(通院、入院、訪問診療等の在宅医療など)があり、これらが相互に連携して支えることで、可能な限り住み慣れた地域・環境で長く生活できるよう支援するシステムです。

 当みゆき会では、各世代への『専門的医療サービス』とニーズに即した『高度な介護サービス』によって、地域の持続的な発展を支えることを理念としています。この理念のもとに、上山を中心としたこの地域で、高いレベルの地域包括ケアシステムの構築を推進しています。訪問診療、訪問看護、訪問リハビリ、老人保健施設みゆきの丘、みゆき福祉会や行政サービスと連携を強くすることによって、地域の皆様が安心で健やかに毎日を過ごしていただけるよう、そしてこの地域にはなくてはならないインフラとしてのみゆき会病院を目指します。

 

2022年10月
病院長 安藤常浩