検査科のご紹介

2024.4

 当検査室は、検体検査と生理検査(心電図、ホルタ―心電図、負荷心電図、肺機能、超音波、筋電図)を、臨床検査技師6名体制で行っています。正確かつ迅速にデータを報告するため、エネルギー全開で日々頑張っております。

検査科 科長  相間知恵子

臨床検査の分類

検査は、大きく2種類に分類されます。
※検査項目をクリックすると検査内容へジャンプします。

『検体検査』

患者様から採取した、血液や尿・便などを調べる検査です。
外来診療では、採血検査の場合約30分~1時間で測定結果を報告します。                           

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1.生化学的検査           
2.免疫学的検査            
3.血液学的検査
4.輸血検査
5.血液ガス
6.尿検査
7.便潜血検査
8.細菌検査
9.その他

 

 

 『生理機能検査』

患者様自身を対象とし、行う検査です。
これらは、病気の診断や治療方針の選択・予後の状態を知るために行います。
心電図、肺機能検査などはもちろん、診断に必要な筋電図、超音波検査なども実施しています。                       


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1.心電図
2.ホルタ―心電図(24時間心電図)
3.呼吸機能検査
4.24時間自由行動下血圧測定
5.CAVI検査
6.SAS検査(携帯型終夜睡眠時無呼吸検査)
7.PSG検査
8.神経伝達速度検査
9.心エコー(心臓超音波検査
10.腹部エコー(腹部超音波検査
11.頚動脈エコー(頸動脈超音波検査
12.下肢静脈エコー(下肢静脈超音波検査
13.甲状腺エコー
14.その他のエコー
15.先端医療としての術中脊椎モニタリング
   検査(運動誘発電位:MEP

各検査の種類 

『検体検査』 

1.生化学的検査

生化学的検査は、血液中の酵素やホルモンなどの様々な成分を分析するもので、病気の診断、治療の判定などに利用します。

※採血時に赤血球が壊れる(溶血)と、検査結果に影響が出る場合があり、その際は再採血をお願いする場合があります。

          生化学検査(2020.7月~)

2.免疫学的検査

免疫とは、体内に入ってきた細菌やウイルスなどに対抗する能力のことで、抗体と呼ばれる物質が大きな役割を担っています。免疫学的検査は、抗体の種類や量を測定することで感染症の診断や免疫の異常などを調べることができます。また、抗体は抗原と結合するという特徴があるため、これを利用して体液中に含まれる抗原を調べることもできます。代表的なものとしては、腫瘍が産出する特殊な抗原(腫瘍マーカー)があります。腫瘍マーカーの増加を早期に捉えることで、腫瘍の早期発見・早期治療が期待できます。

免疫学的検査

3.血液学的検査

●血液算定検査

赤血球、白血球、血小板の数などを測定し、全身の状態を把握するものです。
この3種類の細胞数とヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値などを分析することを血球算定と言います。また、必要に応じて白血球を主要な5種(好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球)に分類する場合、これを白血球分画分類といいます。 

血液算定検査1

●凝固機能検査 

血液が固まって、止血する機能が正常かどうかを調べるものです。
血液に試薬を加え、 固まるまでの時間を測定します。 

凝固機能検査1

4.輸血検査

●血液型

血液型には多くの種類がありますが、
当院ではABO式血液型とRh式血液型を検査しています。
この2種類は、輸血の際に必ず必要な血液型です。

●不規則抗体スクリーニング 

人は自分以外の血液成分を輸血された場合、
その血液成分を拒絶する物質(不規則抗体)を作ってしまうことがあるため、
この抗体の有無を調べる検査です。
以前輸血を受けたり、妊娠・出産の経験者がもっている場合があります。 

●交差適合試験(クロスマッチ)

輸血を行った場合の副作用を防止するための検査です。
血液を提供するドナーと、輸血を受ける人の血液を混合し、その反応を調べます。

●自己血輸血 

脊椎の手術を行う際、前もって自分の血液を採取し(200~400ml)
保存しておきます。手術後に輸血が必要になった場合は、保存していおいた
自分の血液を輸血することができます。
検査科では、保存している間の管理と輸血する前の検査を行います。 

 5.血液ガス

動脈の血液を採取し、肺の酸素の取り込みや二酸化炭素の排出について、
正常に機能しているかを調べます。

血液ガス検査1  

6.尿検査

尿を調べることで、腎臓の状態を調べます。
腎臓は、病気が進行しても自覚症状に乏しいため、
尿の検査で早期に検査・診断することが大切です。
膀胱炎や腎盂腎炎など、感染症などを診断する場合に必要な検査です。

(1)尿定性検査

試験紙を使って、尿中の様々な物質について異常の有無を調べます。
糖やタンパク、白血球や赤血球、そして細菌や尿の色や濁りなども調べます。

尿検査1

(2)尿沈渣検査

遠心分離器で尿を分離し、沈殿した成分(尿沈渣)を顕微鏡で観察し、
白血球や赤血球、結晶、細菌などについて調べます。
腎臓病や腫瘍の有無などの評価を行うために必要です。
最低でも、10mlの尿が必要となります。

7.便潜血検査

胃潰瘍や大腸癌など、胃や腸管などからの出血を伴う病気の検査です。
専用の容器に便をとっていただき、検査を行います。

8.細菌検査

喀痰の中に、抗酸菌(結核菌など)がいるか調べます。

9.その他

インフルエンザ・RSウイルス・ロタウイルス・アデノウイルス・
A群溶血レンサ球菌などの検査を、咽頭・鼻腔・便から採取した検体で行います。  

『生理機能検査』 

1.心電図 

脈拍の乱れや胸部の痛み、動悸や呼吸困難などの症状がある場合、
また手術を控えた患者様の術前検査として行います。
胸に6か所、手首と足首に4か所電極を装着します。
狭心症や心筋梗塞などの冠動脈の病気や不整脈の判断材料になります。 

≪検査日の注意点≫

●胸や手首・足首を出しやすい服装でお出で下さい。
●検査時間は、約5分です。

心電図1  

2.ホルタ―心電図(24時間心電図)

24時間連続して、心電図を測定します。
小型の機器を身体に装着し、普段の生活をしていただきます。
日常生活の中で、稀にみられる脈拍の乱れや胸痛などの時の状態を記録します。

≪検査の注意点≫

●機器を装着するため、入浴はできません。
●あまり意識せずに、普段通りの生活をして下さい。
●胸痛や動悸・息切れなどの症状を感じた場合は、記録カードに記入していただきます。
●翌日、機器返却にご来院下さい。

ホルタ—心電図1 

3.呼吸機能検査 

肺の大きさや機能、気道の広さなどを調べる検査です。
気管支喘息、肺気腫、間質性肺炎などの肺の病気の診断の時に行います。
また手術前に、これから麻酔を予定している患者様に麻酔による負担が無いかどうかを確認する場合にも行います。検査時間は、20分程度です。 

肺活量

4.24時間自由行動下血圧測定 

携帯用の血圧計を装着し、血圧の日内変動を調べます。
一日の中での血圧の変動や、内服している薬の効果を評価することができます。 

※自動で定期的に血圧が測定され記録されます

≪検査日の注意点≫

●血圧を記録する機器を装着するため、入浴できません。
●腕に血圧計を巻くため、大きめのゆとりのある服装でお出で下さい。
●翌日、機器返却にご来院下さい。

24時間血圧測定1  

5.CAVI検査 

腕と足の血圧を測定し、動脈硬化や狭窄(詰まり)などの異常がないかを検査します。
血管の硬さやしなやかさなど、「血管年齢」の程度が分かります。 

≪検査日の注意点≫

●両腕と両足首が出しやすい服装でお出で下さい。
 女性の方は、ストッキングを脱いでいただきます。
●検査時間は、約10分程度です。

CAVI

6.SAS検査(携帯型終夜睡眠時無呼吸検査) 

鼻と指にセンサーを付けて、睡眠時の呼吸の状態を調べます。
機器は簡単に装着できるため、自宅で検査ができます。
いびきが酷い方や、起床時の頭痛、身体のだるさ、日中の眠気などの症状がある方は、
当院の「睡眠時無呼吸症候群専門外来」にご相談下さい。 

≪検査日の注意点≫ 

●マニキュアやジェルネイル等は、ご遠慮ください。
●検査室で機器の装着について説明を聞いていただいた後、
 就寝前にご自身で装着していただきます。通常、二晩の記録をとります。 
●検査終了後、機器返却にご来院下さい。

SAS検査1

※「睡眠時無呼吸症候群専門外来」のご案内はこちら 

 

7.終夜睡眠ポリグラフィー検査(PSG 精密)

睡眠時無呼吸症候群の原因や重症度を調べたり、治療方法を決めたりするために、入院して行う検査です。睡眠中の脳波・心電図・鼻に入る空気の流れ・呼吸の状態・血中の酸素の量など、多くの項目をモニタリングするため、多くの端子を取り付け、一晩寝ていただきます。痛みなどは、全くありません。翌日の朝、端子を外し帰宅となります。
検査までの流れとしては、外来で問診や簡易検査などを行った後、睡眠時無呼吸症候群が疑われた方には、日程をご相談し、入院して検査を受けていただきます(6.のSAS検査は、簡易型の検査で自宅で行う検査です)。
PSGモデル

8.神経伝導速度検査 

皮膚から神経に微弱な電流を流し、神経の中の電気の伝わり方を検査します。
手や足に 力が入りずらい(運動神経の障害)、
しびれや感覚が鈍い部分がある(感覚神経の障害) 場合などに検査します。
末梢神経(手や足を通っている太い神経)の病気の診断などを行います。 

≪検査日の注意点≫

●腕は肘まで出せるように、足は膝まで出せるような服装でお出で下さい。
●女性は、ストッキングを脱いでいただきます(足の検査の場合)。
●検査時間は、1時間程度です。  

9.心エコー(心臓超音波検査) 

ゼリーを付けたプローブ(超音波発信機)を、胸に当てて心臓の形や動きを検査します。
心筋梗塞や狭心症、また心臓弁膜症など様々な心疾患の診断に役立ちます。
主に、循環器内科の医師が検査を担当しています。 

≪検査日の注意点≫ 

●上半身を開きやすい服装でお出で下さい。
●検査時間は、約20分~30分程度です。 

心エコー(心臓超音波検査)1  

10.腹部エコー(腹部超音波検査) 

お腹の表面にゼリーを付け、プローブ(超音波発信機)を当て、
肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、脾臓などの状態を調べます。
肝機能検査で異常な値が出た場合や、健康診断の2次検診を受ける場合などに行います。
主に、消化器科の医師が検査を担当しています。 

≪検査日の注意点≫ 

●食事によって見えにくくなる臓器があるため、絶食でお出で下さい。
●お腹を出して検査をしますので、上半身脱ぎやすい服装でお出で下さい。
●検査時間は、20分~30分です。

腹部エコー

11.頚動脈エコー(頸動脈超音波検査) 

首の表面に、ゼリーを付けたプローブ(超音波発信機)を当て、頸動脈の状態を調べます。
動脈硬化の程度や、血管の詰りなどを調べます。 

≪検査日の注意点≫

●大きく、首元が開けられる服装でお出で下さい。ネックレスなどは、外して下さい。
●検査時間は、約30分程度です。  

12.下肢静脈エコー(下肢静脈超音波検査) 

足の表面に、ゼリーを付けたプローブ(超音波発信機)を当てて、足の血管の状態を調べます。
静脈血栓症の診断に役立ちます。 

≪検査日の注意点≫

●足を出しやすい服装でお出で下さい。
●検査時間は、約40分です。   

13.甲状腺エコー 

頚部にゼリーを付けたプローブ(超音波発信機)を当てて、
甲状腺の大きさや内部の状態を調べる検査です。 

≪検査日の注意点≫ 

●頚部の検査ですので、大きく首元が開けられる服装でお出で下さい。
●ネックレスなどの装飾品は、ご遠慮ください。
●検査時間は、約30分程度です  

14.その他のエコー

その他、疾患や怪我の部位などにより、整形外科医が行うエコー検査もあります。 

15.先端医療としての術中脊椎モニタリング検査(運動誘発電位:MEP)

当検査科では、脊椎の手術中の神経障害を早期に発見し、
術後の神経麻痺を予防するために、モニタリングを行っています。
担当者が手術室に入り、患者様に麻酔がかかった後、頭や手足に電極をつけ、
手術中に電気刺激を行い、手足の筋肉の反応をモニターで確認します。  

モニタリングにおいては、チーム医療として多職種とコミュニケーションを図り、
協力・連携しながら的確で安心・安全な医療を提供できるよう心掛けています。 

手術室:MEP1