8月25日(木)、臨床宗教師の米本智昭先生をお招きして、紅寿の里看取りケアチーム主催講演会「いのちによりそう」を開催しました。紅寿の里では今年の1月から看取りケアに取り組んでいますが、以前、米本先生の講演に感銘を受けた仙道施設長が、看取りに携わる職員の心の育成のために是非聞いてほしいという願いから実現しました。

 講演では、臨床宗教師としての米本先生の仕事内容をはじめ、米本先生が関わった看取りの貴重なエピソードを紹介してくださいました。「看取りを経験して成長するということは、いろんなものを吸収するという成長ではありません。看取りによる喪失感、つまり心に穴があくこと、その穴があるままに生きていくことなのです。利用者と一緒に苦しみ、その傍らにいることが癒し、慰めることに繋がるのではないでしょうか。」とお話ししてくださいました。

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 この講演を通して、私たち援助者は、逃げることなく、目を逸らさずに、苦しみを苦しみのまま一緒に心を開くことで、いのちのケアがそこに成り立つということ、自分の心に耳を傾けることの大切さを学ぶことができました。

※「臨床宗教師」は、被災地や医療機関、福祉施設など の公共空間で心のケアを提供する宗教者です。臨床宗教師という言葉は、欧米のチャプレンに対応する日本語として考えられました。布教・伝道や営利を目的とするのではなく、対象者の価値観を尊重しながら、宗教者としての経験をいかして、苦悩や悲嘆を抱える方々に寄り添います。仏教、キリスト教、神道など、さまざまな信仰を持つ宗教者が協力しています。2011年の東日本大震災を機に、東北大学で養成がはじまり、龍谷大学、鶴見大学、高野山大学、武蔵野大学、種智院大学、大正大学、愛知学院大学、上智大 学、日本スピリチュアルケアワーカー協会等の諸大学機関もこれに取り組んでいます。一般社団法人日本臨床宗教師会によって、「認定臨 床宗教師」の資格認定が行われています。

 8月23日、当施設の入所サービス「二の丸」において、新型コロナウイルス陽性者が確認されました。発生直後より、保健所の指導のもと感染拡大防止につとめております。今回の講演会は、会場の感染対策を徹底し、二の丸の職員を除いて開催しました。