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5月30日(木)、山形済生病院消化器内科の中村由紀子先生をお招きし、「摂食嚥下障害治療について」というテーマで講演会を開催しました。中村先生は、山形大学医学部大学院時代に、仙道施設長が教授を務められていた免疫学・寄生虫学講座で5年間の研究生活を送られました。また、現在も、定期的に介護施設等で嚥下内視鏡検査を実施されており、仙道施設長の紹介で実施した山形市内の特別養護老人ホームでの検査の様子を、当施設の職員が見学させていただいたこともあります。そのようなご縁もあり、このたびの講演会が実現することとなりました。
 摂食嚥下障害とは、食べることや飲み込むことの障害で、食事や水分をうまく摂取出来ない状態のことです。嚥下障害には、筋肉の量が低下することが原因で起こる嚥下障害もあり、病気や怪我で入院し治療のために食べ物を摂取できない間に、食べるために必要な筋力が落ちてしまうことなどもその一例です。そのため入院した際は、食べる力を維持するために、可能な限り早期から食べていただくことが最も基本的な予防につながります。

写真2ご講演いただいた中村由紀子先生


 また、嚥下障害の診断方法として、嚥下内視鏡検査について詳しい説明がありました。嚥下内視鏡検査とは、鼻の穴から細い内視鏡を挿入して喉の中の飲み込む様子を、直接映像で確認する検査です。「ラーメンが食べたい」「ビールを飲みたい」などいった、利用者様の希望や尊厳を護るために、医師、看護師、管理栄養士、ケアワーカーなどが、ご本人やご家族と共にその映像を見ながら話し合います。いかに安全な方法で希望を実現するかを検討するために、とても有効な検査方法の一つとして注目を集めています。
 今回のご講演は、摂食嚥下障害をもつ利用者様のケアにあたっている私たちにとって、とても良い刺激になる内容でした。紅寿の里では、摂食嚥下障害に関するワーキングチームをつくり、中村先生のご指導をいただきながら、様々な職種が連携して利用者様の食生活を維持・改善できるよう、積極的な取り組みを進めて参ります。