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 暖かい4月を迎えました。桜の開花は全国各地で例年より2週間程度早かったようです。地球環境は大丈夫なのでしょうか。  

 私がみゆき会に入職したのは2011年4月でした。その前月の3月11日には東日本大震災がありました。その日私はみゆき会病院に手伝いに来ていて、外来診察の最中に、経験したことのない大きくて長い揺れに見舞われました。外来部門は停電し、紙の処方箋を書きました。大学病院への帰り道、信号が動かなくなった幹線道路の交差点で、誰が指示するでもなく整然と交通の流れを作る山形県民の民度の高さには大いに感動しました。翌朝は素晴らしい晴天で、まだ雪を被る龍山、葉山、月山の姿はあくまでも雄大で青空に映え、ああ、自然は残酷で美しい、と心が動かされた記憶が残っています。あれから一回り、12年が経過しました。その間地球環境は改善したのでしょうか。残念ながらそうは思えません。でも、きっと大丈夫です。無限の宇宙に浮かぶほんの小さな地球のわずかな表面で起きていることは、悠久の宇宙の流れの中では極々些細なことに過ぎません。三世代が経過する80年周期で歴史、つまり経済と戦争は繰り返すと言いますが、たとえ核戦争が起きて人類が絶滅しても、自然にはホメオスターシスという恒常性を保つ作用が働きます。地球環境が悪化すれば、悪化させている人類がもう住めなくなるほどの例えば気象の変化が起きるのでしょう。そして人類が絶滅すれば、地球は何も無かったかの如く、元の姿に戻っていくことでしょう。もちろん、そうならないために、私たち人間は、自分達はあくまでも自然の一部であるということを忘れてはなりません。いかにデジタルツールやITテクノロジーが進化しても、所詮私たちはアナログな心と身体を持つ自然の一部です。そして、自分自身が自然の一部であるということを忘れないためには、自然が豊かな地域に住まうこと、豊かな自然に抱かれることが必須だと考えています。

 私たちみゆき会の成すべき仕事は、この自然豊かな地域に暮らす皆様のそのアナログな部分を守り支えることにあります。私たちの理念は「全世代への専門的な医療と高齢者への高度な介護で地域の持続的な発展を支えます」というものです。みゆき会は、「地域の持続的な発展を支えるインフラ」であることを自認しておりますので、より使い勝手の良いインフラであり続けられるよう、これまでも、そしてこれからもスタッフ一同日々精進してまいります。ところで水道、道路などのインフラは、同質のものが地域に張り巡らされなければ意味がありません。医療・介護においても同じです。少なくとも山形県が持続可能であるためには、皆様の安心・安全を支える医療・介護がどこでも十分に機能するシステムとして全県に張り巡らされなければなりません。そしてそのためには今後、医療・介護の再編、統廃合、機能分担、ということが不可欠となってきます。そこでみゆき会はこの4月に、山形大学医学部から川前金幸名誉教授を理事長補佐としてお迎えすることになりました。そして川前名誉教授が発案されて山形大学医学部に開講される「地域医療・A Iデザイン研究講座」という寄附講座のお手伝いをさせていただきます。社会医療法人みゆき会・社会福祉法人みゆき福祉会・医療法人社団聰明会・有限会社ミユキ、からなるみゆき会グループのみならず、他の医療機関・介護施設とも積極的な連携を図っていきたいと考えております。

 私は、みゆき会は1つの家族だと考えています。そして利用していただく地域の皆様とは共同体を作っていると感じています。自然と食に恵まれたこの地域を、共同体を守ること、さらにこの地域が発展していくことは、日本の、そして世界の持続的な発展につながることと信じています。共同体を支えるべき若い世代が生き生きと暮らすために必須のキーワードは「愛と友情」です(東京都立大・宮台真司教授)。その愛と友情を深める一つの手段としてのスポーツを、みゆき会は、スポーツそのもの、またスポーツ障害・外傷の治療という面からも支えていきます。この3月にはみゆき会自身が日本健康会議による「健康経営優良法人」にも認めていただきました。内科やリハビリテーションをはじめとして地域の医療・介護を守り、整形外科では外傷・関節外科はもとより、脊椎外科・スポーツ整形外科によって地域の活力を盛り上げる。そして他の医療機関や介護施設とのネットワークを深化させる。そのような状況を作っていけるよう、グループをあげて邁進して参ります。今年度もみゆき会を、何卒よろしくお願い申し上げます。                         

2023年4月7日 記


社会医療法人みゆき会
理事長 武井 寛