ウィズコロナ期の地域包括ケアを考える ~VOL.1~

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 4月から、南館クリニック・ライフケアセンター南館で仕事を始めさせていただきました。山形市では、3月半ばから新型コロナウイルス感染者の増加が見られ、仕事始め当初より新型コロナウイルスへの対応にあたりましたが、5月末から患者数が減少した状況です。
 対人サービスである医療・介護の分野でも、病院や施設での面会制限、外来や通所サービスで感染者が出れば診療や事業の休止により患者さんや利用者・家族の皆様への影響が全国的に出ています。私たちの日常生活も、新型コロナウイルスによってマスクの着用、3密を避けての行動など生活様式の大きな変更を余儀なくされました。今まで当たり前に行われてきた人間関係にも、影を落としていると思います。介護分野でも、全国的に展開されている地域包括ケアにも影響があるようです。
 地域包括ケアの根幹は、利用者・家族を中心にそれを取り囲む各サービス事業者、主治医、ケアプランを計画する介護支援事業者、更には地域の民生委員の方々などの連携そして協働です。いわゆる「顔の見える関係」が、利用者や家族の安心につながります。新型コロナウイルスの出現で、リモートワークなどICT利用が更に拡大されてきています。今後、地域包括ケアでのICT利用は拡大されていくことでしょう。しかし、高齢者へのコミュニケーションには、人間のもつ五感への働きかけ、感情表現などは欠くことができません。
 幸い、新型コロナワクチン接種も進み、2回目の接種を完了した高齢者は、山形県全体では58%を超えています(7月12日現在)。高齢者とのコミュニケーションのハードルも、少しづつ低くなることが期待されます。ウィズコロナ期の地域包括ケアには、ICTを利用する局面、人間の持つ五感などを大切にする局面を、いかに組み合わせて利用者・家族の皆様に安心を与えるかが問われていると考えます。

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 南館クリニック 院長
 ライフケアセンター南館 センター長

 阿部吉弘