膝関節
豊島・五十嵐・加藤
多くの方が加齢などと共に抱える悩みである「膝の痛み」。変形性膝関節症等は慢性的な痛みで立ち上がりや歩行が辛くなり、やがて日常生活に支障が出ます。症状には段階があり、進行度合いに応じた診療を行います。手術や保存療法など、痛みの具合や生活環境などを十分に伺いながら治療方法をご相談し、リハビリテーションを含めた治療を行います。
2019年4月より、新たに関節外科センターが加わりました。人工関節・靭帯再建術など、特に関節に関する専門的な医療を提供していきます。
医師紹介
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Profile・専門分野
山形大学医学部 整形外科
膝関節・スポーツ
所属学会・受賞歴
●日本整形外科学会 専門医・認定スポーツドクター
●日本スポーツ協会公認スポーツドクター
●日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)
●プレステージインターナショナル・アランマーレ(Vリーグ女子バレーボール協議強化スタッフ)
●日本オリンピック委員会バレーボール協議強化スタッフ
●日本バレーボール協会HPサポート委員会メディカルユニット -
Profile・専門分野
整形外科 一般外傷・膝関節
所属学会・受賞歴
●日本整形外科学会
●日本整形外科学会認定医 運動器リハビリテーション医
●日本体育協会公認スポーツ指導者Message
これから地域医療に貢献できるよう努めますのでよろしくお願いします。
主な疾患と治療
説明
関節の軟骨がなくなりほとんどのケースでO脚に変形します(稀に外側型変形と言ってX脚変形の人もいます)。
症状
疼痛、歩行障害、関節水腫(水が溜まる)、可動域制限(正座できない)。
検査
主にレントゲン。最もポピュラーなレントゲン分類はK—L(Kellgren-Lawrence)分類ですが北海道大学分類の方が理解しやすいのでこれで説明します。
立って撮ったレントゲンで評価します。グレードは0からⅣまであり、0:正常、Ⅰ:骨棘出現、関節隙間(軟骨)は正常、Ⅱ:関節隙間は1/2以上残っている、Ⅲ:関節隙間 1/2以下、Ⅳ:関節隙間消失、Ⅴ:これに骨の欠損まで及び変形がさらに進行したものをⅤとするとわかりやすいと思います。
治療
治療はグレードⅢまでは投薬、関節内ヒアルロン酸注入などの保存的治療が、ⅡからⅢは軟骨がまだ残っているので体重を健常な外側にシフトさせる外反骨きり術、Ⅳ、Ⅴは軟骨が欠損しているので人工関節置換術の適応となります。変形が内側に限局している場合には片側置換術も選択されます。
説明
膝には4つの靭帯があります。関節の袋の外に内側、外側側副靭帯、関節内の大腿骨のトンネルの中に前後の安定性に関与する前十字、後十字靭帯があります。後十字靭帯損傷は稀な外傷です。関節血腫の90%は前十字靭帯損傷と言われています。
症状
この靭帯が切れるとひねりが加わった状態で不安定感や膝崩れを生じます。
検査
徒手検査、レントゲン、MRI。
治療
稀にほとんど困らない人もいますが多くの方は日常生活やスポーツ活動で不安感があり、手術を希望されます。手術は膝の前の腱(膝蓋腱)を使った手術が標準でしたが、最近は内側(半腱様筋腱)の腱を使う靭帯再建術が主流になっています。術後は6ヶ月で練習開始、1年でスポーツ復帰を目標にリハビリを行います。
説明
半月板は内側、外側にある真ん中に穴の空いたクッションです。損傷の原因は外傷と変性です。
症状
典型的な症状は引っかかり感ですが、疼痛のみの人もよく見られます。
検査
損傷の程度はMRIで分類されます。
治療
断裂が疑われ、投薬や注射などの保存的治療で改善のない場合には手術となります。手術には切除と縫合術があります。靭帯損傷に伴う“不安定な膝”に靭帯再建術と半月板縫合を行った場の縫合術の成績は良好ですが、靭帯損傷のない“安定した膝”での半月板縫合術は成績が良くなく、ほとんどの場合は切除術となります。しかし、半月板切除後の長期的観察ではほとんどの場合、軟骨が損傷し変形性膝関節症を発症しています。いまだ解決できていないところです。
説明
若年の女性、しかも体が柔らかい人が発症します。
症状
膝蓋骨が外に外れます。
検査
徒手検査で膝蓋骨の不安定性を調べます。レントゲン、CT。
治療
初期はサポーターなどによる保存的治療を行いますが約半分の人は手術が必要になります。手術の主流は膝蓋骨の内側にある内側膝蓋大腿靭帯の再建術です。最近までは膝の内側の腱(半腱様筋腱)を使っての手術が一般的でしたが、この靭帯は関節外の靭帯のため自家組織でない人工のテープによる手術も数年前から行われ始め良好な手術成績が報告されています。