「いびきがひどい」「朝、頭が重い」「日中、とても眠たい」

 

~ そんな症状はありませんか? ~

  睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)という病気をご存じでしょうか?SASは全国で、約400~500万人いると推定されています。日中の眠気や、起床時の頭痛、集中力の低下などがみられる場合や、睡眠時のいびきや無呼吸を指摘される場合はSASを疑って検査をします。 

機械2 SASには「閉塞性SAS(OSAS)」と「中枢性SAS(CSAS)」と二つの種類があります。OSASは肥満や解剖学的な形態により、眠ると空気の通り道である気道が狭くなり呼吸が止まりやすくなります。一方、CSASは心不全や神経疾患などにより呼吸中枢の指令が狂ってしまい、夜間に息が止まりやすくなるものですが、一般的に睡眠時無呼吸症候群として治療されている多くはOSASの患者さんです。

 SASの検査は外来ですることができます。アプノモニターと呼ばれる機械を自宅で装着して睡眠の記録をとります。アプノモニターによって、1時間あたりどれくらい呼吸が浅くなって(低呼吸)、どれくらいの時間呼吸が止まっていたのか(無呼吸)をあわせて「無呼吸低呼吸指数(AHI)」を測定することで診断することができます。アプノモニターだ写真1けで診断にいたらない場合は、さらに精密な検査できる「ポリソムノグラフィー(PSG)」検査を入院で行います。AHIが高い人は保険診療で治療を行うことができます。

 SASの治療の基本は「持続陽圧換気(Continuous Positive Airway Pressure: CPAP)」を睡眠時に行うことです。鼻や口を覆うマスクを装着し、せまくなった気道に空気を送り込むことでせまくなってしまう気道に空気で添え木をするようにして、閉じないようにする治療です。睡眠時に装置をつけることや、音のわずらわしさなど受け入れが難しい点もありますが、上手に無呼吸が解消さると「日中、運転してる際に絶対に眠くなったのに大丈夫になりました」「よく眠れて、朝すっきり起きられます」と報告してくれる方も多いです。

 自覚的な症状の改善はもちろんいいことですが、症状が軽いからとSASをそのままにしておくとどうなるでしょうか?無呼吸で体の酸素が低下すると深い睡眠が得られず、常に体が起きているような状態になります。そうすると常に交感神経(全身の興奮を高める神経)が働き、高血圧など心臓や血管の合併症が増えることが報告されています。OSASの患者さんでは心筋梗塞、脳卒中などの致命的な合併症が多いことがわかっていますが、CPAPをすることで健康な人と同程度まで減らせることがわかっています。

 OSASのイメージとしては太っている人が多いイメージが多いかもしれません。確かに肥満はOSASのリスクになりますが、肥満が少ない日本人と肥満の多い欧米人とで患者の数はあまりかわらないとされています。その理由として東洋人は顎が小さいなどの形態的な原因があり、太っていない人でもOSASを合併していることが多いようです。もし、いびきや眠気が気になるようでしたら、一度外来で検査をしてみることをおすすめします。写真2

医師のご紹介

写真1  内科(呼吸器) 山内啓子 医師

  所属学会・受賞歴

 ●日本内科学会 総合内科専門医
 ●日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医
 ●日本呼吸器学会
 ●日本肺癌学会
 ●日本緩和医療学会
 ●日本救急医学会