「体に負担が少ない手術で、早期の社会復帰へ!」

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 脊椎内視鏡手術は体に対する負担が少ない(低侵襲)な手術方法であり、早急な社会復帰や復職が望まれる場合、高齢社会において手術や麻酔に伴う体への負担を減らしたい方にとって、特に有用な手術方法となっています。内視鏡画像をアシストとして、より小さい傷で今までの手術と同様に行う方法から、局所麻酔で内視鏡操作のみで行う方法もでてきております。脊椎内視鏡手術は日本では1990年代後半から始まり、2010年には全国で1万件以上行われてきており、その後も社会のニーズに合わせて毎年増加してきています。

写真2 当院では腰椎の病変に対して脊椎内視鏡手術を行っております。腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間孔狭窄症、化膿性脊椎炎などを対象としております。脊椎内視鏡には2種類の方法があります。内視鏡視下腰椎椎間板摘出術(MED:microendoscopic disceotomy)と全内視鏡視下脊椎手術(FESS:full-endoscopic spine surgery)です。 MEDは、従来の手術を、内視鏡を用いることで小さい傷で行っているというイメージになります。全身麻酔で、2センチ程度の傷から外筒をいれて、内視鏡のアシストで、骨を削ったり、椎間板ヘルニアを摘出します。従来の手術とほぼ同等の手術効果が期待できます。

 FESSは、日本では2003年ごろから開始された比較的新しい方法です。1センチ程度の傷から内視鏡を挿入して、骨を削ったり、椎間板ヘルニアを摘出します。全身麻酔ではなく、局所麻酔でも可能な方法であること、手術器具内に水を還流して行うので術後の組織の癒着が生じにくいなどの利点もあります いずれの方法も、傷は従来の手術よりも小さく、術後の体への負担も少なくなります。入院期間はリハビリテーションを含めてMEDでは2週間程度、FESSでは1週間程度となる場合が多いです。退院後、事務作業はすぐに復帰可能であり、重労働も術後4から6週後には開始可能となることが多いです。

 脊椎内視鏡手術は有用な術式ですが、内視鏡の設置が必要であること、限られたスペース、手術器具で行うことから従来の手術よりも時間を要することもあります。また、出血が多い場合や、神経の癒着が強い場合などは安全のために従来の手術方法に手術中に変更することもあります。

 脊椎内視鏡手術は低侵襲で、早期社会復帰が目指せる方法でありますが、内視鏡を用いたピンポイントでの手術になります。そのため術前診察、検査での痛みの原因部位の特定や、内視鏡を用いても手術の可否の判断も重要になります。腰椎疾患でお困りの方は当院受診していただいて、一緒に相談して治療していきましょう。

  • 画像タイトルFESS機材
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  • FESS用外筒(7mm)
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医師のご紹介

写真1  整形外科(脊髄・脊椎)嶋村之秀 医師

  所属学会・受賞歴

 ●日本整形外科学会 専門医 認定脊髄病医
 ●日本脊椎脊髄病学会 指導医
 ●日本脊髄障害学会
 ●東日本整形災害外科学会
 ●東北整形災害外科学会
 ●日本MIST学会 評議員