呼吸をして体に酸素を取り込み炭酸ガスを排出するための重要な臓器で、肺やその周辺の臓器を呼吸器と言います。咳、痰、血痰、呼吸困難、胸痛など気になる症状を感じたら、早期の受診をおすすめします。

医師紹介

  • 安藤Drメイン
  • 安藤 常浩 Tsunehiro Ando

    病院長 診療技術部長 健診センター長 診療情報管理室長 3階西病棟担当

    Profile

    平成2年 山形大学医学部卒 東邦大学医学部客員教授/医学博士/ 身体障害者福祉法指定医(呼吸機能障害、免疫不全機能障害)

    Message

    先進幸せ健康県、山形を!

  • 専門分野

    呼吸器・感染症

    所属学会・受賞歴

    ●日本内科学会 総合内科専門医
    ●日本呼吸器学会 専門医、指導医
    ●日本感染症学会、化学療法学会、環境感染症学会
     ICD(インフェクションコントロールドクター)
    ●日本結核病学会
    ●日本エイズ学会
    ●日本医真菌学会
    ●日本抗加齢医学会(アンチエイジング) 専門医
    ●日本東洋医学会(漢方治療)
    ●日本温泉気候物理医学会

  • 安藤Dr03

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)専門外来

禁煙外来
  • 佐藤 徹  Toru Sato

    佐藤徹Dr 

    Profile・専門分野

     呼吸器外科領域
     

    所属学会・受賞歴

    ●日本呼吸器外科学会 指導医 専門医
    ●日本外科学会 指導医 専門医
    ●日本呼吸器学会 専門医
    ●NPO法人肺がんCT検診認定機構CT検診認定医
    ●日本肺癌学会
    ●日本気胸・嚢胞性肺疾患学会
    ●日本緩和医療学会
    ●日本禁煙学会 

  • 山内 啓子  Keiko Yamauchi

    山内啓子Dr

    Profile・専門分野

     山形大学医学部 第1内科
     呼吸器内科

    所属学会・受賞歴

    ●日本内科学会 総合内科専門医
    ●日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医
    ●日本呼吸器学会 呼吸器専門医
    ●日本肺癌学会
    ●日本緩和医療学会
    ●日本救急医学会

    Message

     呼吸器内科として、病気に対する皆様の不安に寄りそえる医師でありたいです。地域医療に貢献したいです。

主な疾患と治療

肺炎とは

肺炎は日本人の死因第3位であり、適切な診断・治療がなければ致死的にもなる重要な疾患です。主な症状は発熱、咳、痰、息切れです。風邪症状が長引いた場合などは要注意です。肺炎は多様であり、その起こり方や原因となる微生物などによって様々に分けられます。
高齢者に多い誤嚥性肺炎、しばしばみられる肺炎球菌などによる細菌性肺炎、まれにウイルスやカビ(真菌)による肺炎も起こります。それらの原因微生物以外により生じる肺炎もあります。例えば間質性肺炎・肺線維症、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、膠原病肺(関節リウマチなど)などです。これらは通常、診断・治療が難しく、原因として肺に吸い込んだ物質に対しての反応(炎症)や体の免疫反応の障害として発症することが多いです。

誤嚥性肺炎の症状

高齢になり寝たきりや意識状態が悪いと起きやすくなります。口の中の食物や唾液などを誤嚥し、それらを気管から肺に吸い込んでしまうことで発症します。明らかに誤嚥した様子がない場合もあります。なぜならむせる事なく唾液などを無意識に吸い込んでしまうことがあるからです。口腔内のバイ菌(細菌)が原因菌となり感染症としての肺炎が起こります。

治療

予防としては誤嚥しないだけでなく、誤嚥を感じる事や咳嗽反射といってむせ込んだ直後、しっかり咳をして外に吐き出す事も大事です。治療として抗生剤を用いますが、同時に食事や飲み物の摂取をしばらく中止し点滴で栄養管理などを行います。嚥下機能の改善が遅い方には、誤嚥予防として嚥下(食事)のリハビリテーションを行います。

細菌性肺炎の症状

病原菌として肺炎球菌、マイコプラズマ、インフルエンザ菌、肺炎桿菌等、その他さまざまな菌が肺炎の原因となります。中でも最も頻度が高く、重症になりなりやすいのが肺炎球菌による肺炎です。それを予防するために、現在65歳以上の成人に肺炎球菌ワクチン接種が勧められています。100%の予防は難しいですが、重症化を防ぐ効果があると言われています。

治療

細菌性肺炎の場合は入院して抗生剤の点滴治療を行います。比較的軽症の場合は内服の抗生剤で外来治療を行うこともあります。治療での大切なポイントとして原因の細菌がどの細菌なのかが問題になります。治療としては原因となる菌に有効な抗生剤の治療が重要です。例えば肺炎球菌とマイコプラズマでは有効な抗生剤が異なる場合もあり注意を要します。通常は症状、レントゲン検査、痰の培養検査や尿検査などを行なって原因菌を調べて治療法を判断します。
インフルエンザなどのウイルスやカビ(真菌)による感染として肺炎を生じる場合もあります。非常にまれですが、呼吸困難を伴い重症になることもあります。真菌の肺炎の場合は診断、治療が難しいことが多くあります。アスペルギルス、クリプトコッカスなどの真菌が肺炎の原因になります。また、その他の真菌がアレルギー反応として肺炎を引き起こすこともあります。

症状

喫煙などが原因となる肺気腫・COPDは、近年本邦で増加の一途をたどっております。タバコの煙などの吸入により、肺の微細な構造がこわされ、空気の流れが障害されます。結果的に息切れや咳、痰などの症状を伴います。初期の場合は症状がなく健診などでの呼吸機能検査で肺機能異常として発見される場合があります。進行すると呼吸困難になり、肺炎を起こしやすくなり生活に支障をきたす場合があります。

治療

進行する前に禁煙することが第一ですが、早めに診断・治療で病気の進行を抑えることが可能です。息切れの強い方には内服や吸入薬による治療以外に、呼吸リハビリテーションや、必要に応じて在宅酸素療法の導入などを行います。喫煙歴のある方で、慢性的に咳や痰が続く場合には専門的な検査が必要と考えられます。

慢性のアレルギー反応として発作的に気管支が収縮(細く縮む)した結果、胸が『ぜいぜい』し、息苦しく、咳がなかなか止まらない状況が生じます。近年、治療薬の進歩により喘息発作での入院頻度は減少しました。また、一流スポーツ選手にも見られるように日常の適切な管理により克服可能な病気になっています。しかしながらアレルギーの原因回避など環境整備や体調管理、定期的な外来通院による専門医の診療は必要になります。

症状

間質性肺炎は原因不明のもの(特発性)と、膠原病、喫煙、薬剤、吸入物、鳥との接触などによる原因の関与がわかるもの分かれます。いずれも肺の微細な構造が壊れた結果、肺自体が線維化といって硬く縮んでしまうことで、息切れや呼吸困難、長引く咳などの症状を伴います。

治療

最近の治療の進歩として、ステロイドなどの免疫抑制剤以外に抗線維化薬といって病気の進行を抑える薬剤も使えるようになってきました。慢性的に呼吸状態が悪化した場合は、在宅酸素療法を導入する場合もあります。軽症の場合は定期的にレントゲンやCT、肺機能検査などで経過観察のみを行うことがありますが、ときに病状が急速に進行する場合もあり、専門医の判断を要します。

症状

日本人の2人に一人ががんになると言われます。がんの中でも肺がんは最も死亡者数が多い病気です。そのために早期の診断が必要になります。症状としては長引く咳、痰、ときに血痰、体重減少などです。

治療

当院で可能な検査としては胸部X線、CTでチェックし異常が疑われた場合に喀痰細胞診検査を行います。診断が難しい場合は、山形大学医学部附属病院などに依頼して、PET-CT検査や気管支内視鏡検査、外科的検査を検討します。当院では手術や抗がん剤治療は行えませんが、場合によっては定期的な経過観察や、緩和的な治療として外来通院や入院療養も行なっています。

症状

結核は減少傾向ですが、まだ若年者を含めてしばしば発病者がみられ、ときに家族、学校、会社などでの感染対策(接触者検診)が必要な状況です。長引く咳、痰、発熱、寝汗等が主な症状であり、周囲への感染のリスクが大きいため、早期診断、早期治療が必要な病気です。

治療

結核と診断された場合、通常、専門施設への入院が必要となりますが、6~9ヶ月間で内服治療を終了可能です。外来での治療の場合は当院でも診療を行っています。
一方で非結核性抗酸菌症については、ヒトからヒトへ感染することはありません。通常、土の中や溜まった水のヌメリなどに存在する非結核性抗酸菌を吸入することで感染すると言われています。症状は結核に類似しますが、進行は通常遅く無症状で健診をきっかけに発見されることもあります。特徴として、中高年女性を中心に増加傾向があり問題になっています。結核と異なり抗生剤の効果が十分得られず、治療に難渋することもあり、やはり専門医による診療が必要になります。

症状

肥満や耳鼻科的な要因で、睡眠中に呼吸が一時的に停止する病気です。睡眠中のいびきや日中の眠気などの症状があります。成人男性の約5%、女性の約4%にみられます。眠気のみならず、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす危険性が約3~5倍に高くなることも問題です。また、交通事故リスクも7倍に増えるため、社会問題にもなっています。診断には睡眠時の検査が必要になります。

治療

まずは簡易検査として自宅で睡眠時の呼吸状態の検査を行います。重症の方はこれだけで診断できますが、通常は確定診断を行うために、一泊入院していただき、夜間睡眠中の呼吸状態、酸素飽和度、脳波、心電図、筋電図などを測定します。治療としては主に、CPAPと呼ばれる呼吸器補助装置による治療を開始します。または耳鼻科的な要因が強い方は耳鼻科での治療も考慮します。いびきや日中の眠気を感じている方はご相談ください。

上記でご紹介した慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎・肺線維症、手術後低肺機能などにより呼吸機能が保たれなくなった方には、それぞれの疾患に応じた呼吸リハビリテーションや在宅酸素療法などによる呼吸補助療法を導入しています。通常、1~2週間前後入院していただき療養指導させていただいております。

禁煙専門外来にて禁煙指導を行っております。一定の条件を満たした場合は、禁煙治療および禁煙の補助薬(ニコチンパッチや内服薬など)が健康保険適用となります。

HIV, 渡航感染症などまれな感染症についても診療、相談など行っています。