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 口の中は細菌などの微生物が好む環境(温度、湿度、食べかすなどの栄養成分)が揃いやすく、もともと良好な状態が保たれにくい場所です。特に年齢を重ねると、自浄作用をもつ唾液の分泌量が減ったり、あるいは体の一部が不自由となり、さらに清潔な状態が得られにくくなることから、歯の不具合や口腔内のトラブルが多くなることがあります。 高齢者における口腔ケアの目的は、口の中の汚れや細菌を取り除く「器質的口腔ケア」と、口腔機能を維持・向上させる「機能的口腔ケア」の二つあります。これらを組み合わせることで効果が高まります。
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 口腔ケアの主な効果は以下の5つです。
1.唾液分泌の促進:唾液には歯や口の粘膜を保護したり、殺菌成分が含まれているため、虫歯や歯周病の予防になります。
2.味覚改善による食欲増進:舌の汚れをきれいに取り除くことや、唾液分泌が促進されることで味覚が改善する場合があり、食欲増進が期待でき、低栄養状態や脱水症状の予防になります。
3.誤嚥性肺炎や感染症の予防:口の中の汚れや細菌を取り除き清潔に保つことで、口の中の細菌が原因となって発症する誤嚥性肺炎」や感染症などの予防につながります。
4.認知症の予防:口を開けたり閉じたりして噛んで食べる行為は、脳に酸素を送ったり刺激を与えるため中枢神経を活性化し。認知症を予防するといわれています。
5.口腔機能の低下(オーラルフレイル)を防ぐ:「噛む」「飲み込む」「呼吸する」「話す」「表情を作る」などの口腔機能の向上・改善につながります。

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 当科では、在宅や施設等で通院が出来ない方に訪問歯科診療を行っています。寝たきりや車いすであっても、是非ご相談ください。皆さんも、いつまでも自分の口から「美味しく」「楽しみながら」食事が摂れるよう、口腔ケアについてもう一度考えてみませんか?

医師のご紹介

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 歯科:佐藤尚紀 医師