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 「 2025年5月から当院では脊椎手術に新システムであるO-armの導入を開始しております。山形県内の医療機関では初めての導入です。O-armシステムは、手術中にリアルタイムでCT画像を提供する画像診断装置であり、脊椎手術においてその有用性が広く・高く評価されています。

O-armの利点

 利点については大きく3つあります。

 第1は「正確性」です。O-armは手術中にCT画像を取得し、ナビゲーションシステムと連携させることで、挿入する金属の挿入位置を正確に把握することが可能になります。これにより、金属の誤挿入や神経損傷などの合併症リスクが低減され、手術の安全性が向上します。特に脊椎変形や解剖学的異常がある症例では、O-armの正確性が極めて重要となります。従来、脊椎手術ではX線透視を用いて挿入した金属の設置位置を確認する方法が一般的でしたが、これには視認性の限界があり、精度に課題がありました。O-armの導入により、これらの問題が改善されます。また、手術精度の向上により、再手術の危険性が低下し、患者の回復期間も短縮されます。 
 第2に「手術の身体的負担の低減」です。O-armの導入で手術の正確性の向上することで、手術時間の短縮が期待でき、患者様への身体負担の低減につながります。
 第3に「被爆の軽減」です。手術中に正確な位置確認が可能なため、術後に撮影するCTやX線の回数を減らせることも、患者様の被爆低減に貢献することもできます。 総じてO-armの導入は脊椎手術において手術精度と安全性を高め、術後成績の改善、患者様の身体的負担の低減、被爆の低減が期待できます。そのため当院の脊椎手術の安全性・有用性が向上することと考えております。

 みゆき会病院山形脊椎センターでは、これからも安心・安全そして患者様への思いやりを大切に良質な医療の提供に努めてまいります。

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O-arm(オーアーム)「Q&A」

Q1: O-armとは何ですか? 
A1: O-armは、手術中に使用される移動型の3Dイメージング装置で、リアルタイムでCTのような画像を取得できます。

Q2: どのような形をしていますか?
A2: 「O」の字のようなリング状をしており、開閉しながら患者様を囲むように動作します。

Q3: 主にどのような手術で使われますか?
A3: 難易度が高いと言われる脊椎関連の手術(脊椎側弯症、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など)を中心とした整形外科手術等で使われます。

Q4: どんなメリットがありますか?
A4: 高精度な3D画像で、インプラントの位置確認やナビゲーション精度の向上が可能です。

Q5: 手術ナビゲーションとは何ですか?
A5: 手術中にリアルタイムで器具の位置を可視化するシステムで、モニターに映像を映し出します。

Q6: CTとどう違いますか?
A6: O-armは手術室内で使える可動型で、術中の撮影が可能です。CTは通常、術前・術後に使用される固定型です。

Q7: 患者は動かされますか?
A7: いいえ、O-armが患者の周囲を回って撮影するため、患者は動かさずに済み身体的な負担はありません。

Q8: O-armは誰が操作しますか?
A8: 通常は放射線技師や専門の医療スタッフが操作します。

医師のご紹介

写真1 整形外科(脊髄・脊椎):嶋村之秀 医師

 <所属学会・受賞歴>

 ●日本整形外科学会 専門医 認定脊髄病医
 ●日本脊椎脊髄病学会 指導医
 ●日本脊髄障害学会
 ●東日本整形災害外科学会
 ●東北整形災害外科学会
 ●日本MIST学会 評議員